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子供の栄養編2: 成長期にカルシウムをしっかりとろう!

成長期の子どもは、骨の成長が活発です。骨量が増加するこの時期に骨を強くしておくことが、将来に向けて骨粗しょう症を防ぐことにつながります。

丈夫な骨や歯をつくるためには、バランスの良い食事と運動が大切です。特にカルシウムの摂取が重要です!

しかし、日本人のカルシウム摂取量は不足しがちと言われています。令和元年の「国民・栄養調査」では、全世代で1日の平均摂取量は、食事摂取基準の推奨量には足りていませんでした。

意識してとりたいカルシウム。そこで、今回はカルシウムの役割やカルシウム摂取のポイントについてお話ししたいと思います。

 


カルシウムの役割


カルシウムは私たちが生きていく上で欠かすことのできない栄養素です。

カルシウムは丈夫な骨や歯をつくります。骨量が増加する成長期に、カルシウムをしっかり摂取することが将来骨粗しょう症を防ぐためにも大切です。

その他にもカルシウムは、神経の伝達をはじめ、筋肉の収縮、ホルモン分泌の調節など、体のさまざまな機能の調節に大切な役割を担っています。

カルシウムは、子どもが心身ともに健康に育つために、必要不可欠な栄養素なのです!

 


どれくらいとればいいの?


「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」では、以下の表のようにカルシウムの推定平均必要量と推奨量が定められています。

推定平均必要量とは50%の人が必要量を満たす量で、推奨量はほとんどの人が必要量を満たす量です。推奨量を目指すようにしましょう!

成長期の子どもの推奨量は、男性700~1000㎎、女性750~800㎎です。カルシウム1000㎎はとても多い数値で、牛乳だけでとろうとするとコップ4.5杯も飲まなければいけません。

毎日の食生活でカルシウム摂取を意識することが大切です。

カルシウムの食事摂取基準(mg/日)

男性 女性
年齢等 推定平均必要量 推奨量 目安量  耐容上限量 推定平均必要量 推奨量 目安量  耐容上限量
0 ~ 5 (月) 200 200
6 ~11(月) 250 250
1 ~ 2 (歳) 350 450 350 400
3 ~ 5 (歳) 500 600 450 550
6 ~ 7 (歳) 500 600 450 550
8 ~ 9 (歳) 550 650 600 750
10~11(歳) 600 700 600 750
12~14(歳) 850 1,000 700 800
15~17(歳) 650 800 550 650
18~29(歳) 650 800 2,500 550 650 2,500
30~49(歳) 600 750 2,500 550 650 2,500
50~64(歳) 600 750 2,500 550 650 2,500
65~74(歳) 600 750 2,500 550 650 2,500
75 以上(歳) 600 700 2,500 500 600 2,500
妊婦(付加量) 0 0
授乳婦(付加量) 0 0

出典:厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年度版)

 


カルシウムが多くとれる食品


カルシウムは、牛乳、ヨーグルト・チーズなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、一部の野菜などに多く含まれています。

なかでも、牛乳・乳製品のカルシウム吸収率は他の食品に比べて高いうえ、1回の摂取量も多いので、効率よくカルシウムが摂れます

食品群 食品名 摂取量 カルシウム含有量
牛乳・乳製品 牛乳 コップ1杯(200g) 220mg
ヨーグルト 1パック(100g) 120mg
プロセスチーズ 1切れ(20g) 126mg
野菜類 小松菜 1/4束(70g) 119mg
菜の花 1/4束(50g) 80mg
水菜 1/4束(50g) 105mg
切り干し大根 煮物1食分(15g) 81mg
海藻 ひじき 煮物1食分(10g) 140mg
小魚 さくらえび(素干し) 大さじ1杯(5g) 100mg
ししゃも 3尾(45g) 149mg
豆類 木綿豆腐 約1/2丁(150g) 180mg
納豆 1パック(50g) 45mg
厚揚げ 1/2枚(100g) 240mg

出典:農林水産省 みんなの食育 大切な栄養素カルシウム

 


成長期におけるカルシウム摂取のポイント


成長期のカルシウム推奨量を満たすためには、毎食主菜を欠かさないこと、牛乳・乳製品を1日2〜3回取ることが大切です。

〇栄養バランスの良い食事を心がけましょう

毎食、主食(ご飯・パン・麺類など)+主菜(魚・大豆製品・卵・肉)+副菜(野菜・海藻)を揃えることが大切です。

主菜では特に魚と大豆製品を取り入れましょう。間食には、いりこ等の小魚や牛乳・乳製品がお薦めです。

〇牛乳・乳製品を123回とりましょう

牛乳・乳製品のカルシウム吸収率は他の食品に比べて高いうえ、1回の摂取量も多いので、効率よくカルシウムが摂れます。

1回の目安として、牛乳ならコップ1杯、ヨーグルトなら1パック(100g)、チーズなら1切れ(20g)です。

朝と間食には牛乳、夕食後はヨーグルトと食べる時間帯を決めておくと習慣化しやすくなります。

〇カルシウム食品はこまめにとりましょう

カルシウムは吸収が良くないため、まとめてとらず、こまめにとることも大切です。食事や間食と分けてとりましょう。

〇ビタミンDとビタミンKも一緒にとりましょう

カルシウムの吸収を高めるビタミンD、吸収されたカルシウムを骨にとり込むのを助けるビタミンKを一緒にとると効果的です。

ビタミンDは魚やきのこ類、ビタミンKは葉野菜や納豆に多く含まれています。またビタミンDは日光を浴びることで体内で生成されるため、外で遊ぶことも大切です。

〇適度な運動と睡眠をとりましょう

吸収したカルシウムを効率よく骨に利用させるためには、適度な運動が必要です。

さらに成長期にはしっかりと睡眠をとることも大切です。「寝る子は育つ」は本当のことです。私たちの骨を成長させ、身体を大きくする成長ホルモンは寝ているときに分泌されるからです。

〇食事で足りなければカルシウム入りのお菓子や飲料を活用しましょう

牛乳・乳製品がとれない・苦手な方や食事で足りない方は、カルシウム入りのお菓子や飲料になっているサプリメントがあるので活用しましょう。

カルシウムサプリメントの過剰摂取は、体に良くないので1日の目安量はしっかり守りましょう。

 

管理栄養士

吉岡彩

<学歴>
法政大学文学部卒
女子栄養大学栄養学部卒

<職歴>
・損害保険会社にて事務及び講習会講師業務
(その後女子栄養大学を卒業)
・病院にて管理栄養士として給食管理、集団栄養指導、個人栄養指導など
 栄養管理業務を担当
・健康診断専門のクリニックにて管理栄養士として特定保健指導、栄養相談業務を担当
 (今までの特定栄養保健指導の面談及び継続支援者数962名)

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