DHA,EPAってなあに?

DHA・EPAってどんなもの?オメガ3系脂肪酸とは?

DHA は「頭が良くなる」EPAは「血液をサラサラにする」というフレーズで一躍有名になった栄養素です。
実はこのDHA 、EPAは最近、テレビや雑誌、スーパーでよく聞いたり目にすることが多い「オメガ3系脂肪酸」の1種です。
オメガ3系脂肪酸はヒトの体の構成成分でもあります。ヒトの体内で作ることが出来ない為、食品から摂取する必要があります。
オメガ3系脂肪酸には他に、しそ油やえごま油、亜麻仁油などに多く含まれているα-リノレン酸があります。
DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)は青魚の脂に多く含まれています。

▽脂肪酸の種類(n–3系脂肪酸とはオメガ3系脂肪酸のことです。)


出典:厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」2020版
DHA・EPAはヒトの健康増進、生活習慣病予防としての研究報告が多くなされ、世界中で注目されています!!注目されている理由と効率の良い摂り方を探ってみましょう。

▽野菜を食べないイヌイットの食生活から注目を集めたDHA・EPA

DHA・EPAが注目を集めたきっかけは1970年代に行われたイヌイットとデンマーク人を対象にした疫学調査でした。
イヌイットは、野菜をほとんど摂らず、アザラシや魚類を主食とする先住民族で、デンマーク人は牛や豚など肉食中心の食生活でしたが、動脈硬化が原因となって起こる心筋梗塞による死亡率が有意に低かったのです。
調査の結果、イヌイットが常食している魚やアザラシに多く含まれるDHA・EPAに血栓を防ぐ効果がある事が分かりました。
日本においても漁民と農民の食生活を比較調査した研究では、漁民は、農民よりも心筋梗塞や脳梗塞による死亡率が低い結果となり、DHA・EPAに血栓を防ぐ効果がある事が同様に分かりました。

▽DHAでアルツハイマーが予防できる!?

冒頭でDHA は「頭が良くなる」、EPAは「血液をサラサラにする」、というフレーズを紹介しましたが、DHA・EPAに対する研究は今も続いています。
DHA とEPAの両者で心血管疾患リスクだけでなく、中性脂肪を減らすことが認められ、アレルギー性疾患にも寄与すると示唆されています。DHA もEPAも似た働きをしますが中性脂肪を減らしたり、血栓を予防する効果はEPAの方が高いと言われています。
DHAは、脳の構成成分として脳や神経組織の発育に必須の栄養素であることがわかっています。
DHAが学習・記憶能力を高めるだけではなく、アルツハイマー型認知症を予防・改善するという報告があり、現在も研究が進められています。
今後も研究が進むことで、DHA・EPAにおける思わぬ効果が発見されるかもしれません。

どんな食品に含まれているの?


DHA とEPAは、両者ともに青魚の脂に多く含まれています。魚の種類によってDHA とEPAの含有量は違います。
身近なものとしてDHA はマグロ、サバ、サンマ、ブリなどに、EPAはサバ、サンマなどに多く含まれています。
魚の調理法によっては含有量が変わってしまうことがあります。刺身など生食が効率よく摂取する方法です。

出典:水産庁 水産物等に含まれるDHA 及びEPA

どれくらい摂ればいいの?

厚生労働省作成の「日本人の食事摂取基準 2020年版」では、DHA ・EPA・α-リノレン酸などを合わせたn–3系脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)の目安量として、下記の表のように定められています。
1日に1食は魚料理を取り入れるのが理想的です。しかし、魚が苦手な方や魚を摂る機会が少ない方はサプリメントで摂取するのも1つの方法です。


出典:厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」2020版

いつ摂るといいの?

中性脂肪を改善させたい方に必見です!

マウス実験による魚油の摂取で、脂質代謝の改善効果が摂取する時間によって違うことを産業技術総合研究所とマルハニチロ株式会社との共同研究で2016年の学会で発表されました。
DHAやEPAを含む魚油をマウスに朝食あるいは夕食に摂取させたところ、朝食時の魚油摂取は、夕食時より血中のDHA ・EPA濃度を高め、果糖の過剰摂取によって引き起こされれる脂質代謝異常を有意に低減することが分かりました。今後のヒトでの研究にも注目していきたいですね。
しかし、朝食に魚料理を取り入れるのは手間がかかり躊躇する方も多いはずではないでしょうか。そこで簡単なものとして魚の缶詰を利用するのも1つの方法です。
ご飯派にはサバの味噌煮などの味付けしてある缶詰を、パン派にはツナ缶とマヨネーズを和えてサンドイッチにするのもお薦めです。無理なく取り入れていきましょう。

摂りすぎるとどうなるの?


EPA・DHAを大量摂取すると凝血能が低下し、出血傾向が起きることがあると言われています。
食事からの摂取では問題ないと言われていますが、魚油の大量摂取では、げっぷ・吐き気・鼻血・軟便が報告されています。
国内での上限量を示す指標はありませんが、欧州食品安全機関(EFSA)では、EPAとDHA を合わせた量が、約5g/日以下であれば安全とされています。
一度に大量摂取するのではなく、毎日こまめに摂取することが大切です。
サプリメントを使用する場合は1日の容量に気をつけましょう。

 

管理栄養士

吉岡彩

<学歴>
法政大学文学部卒
女子栄養大学栄養学部卒

<職歴>
・損害保険会社にて事務及び講習会講師業務
(その後女子栄養大学を卒業)
・病院にて管理栄養士として給食管理、集団栄養指導、個人栄養指導など
 栄養管理業務を担当
・健康診断専門のクリニックにて管理栄養士として特定保健指導、栄養相談業務を担当
 (今までの特定栄養保健指導の面談及び継続支援者数962名)

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