脂肪酸とは?〜摂りたい油と控えたい油〜
最近はスーパーでもオリーブ油、亜麻仁油やえごま油など沢山の種類の油が並ぶようになりました。「オメガ3系脂肪酸」や「コレステロール0」という表示もよく見かけます。
種類が多い上、脂肪酸やコレステロールの表示まである為、どの油を選んだらいいかと迷われることも多いのではないでしょうか。
そこで、今回は脂肪酸と摂りたい油と控えたい油についてお話したいと思います。
「コレステロール0」表示については、植物油にはそもそもコレステロールはほぼ含まれていないので、この表示には惑わされないようにしましょう。コレステロールが気になる方は脂肪酸の種類が大切です!
脂肪酸は私たちの体を構成する脂質(脂肪)であり、食品の油脂を構成する脂質でもあります。
脂肪酸と味覚の関係も研究されており、脂肪酸の1つであるアラキドン酸が旨味を向上させることが分かってきました。
味覚は甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5つが基本味とされています。最新の研究では「脂肪味」として脂肪酸が第6の味覚の候補に挙げられています。
脂肪味に鈍感な人は肥満傾向であり生活習慣病のリスクも高まると示唆されています。生活習慣病を防ぐ鍵になるかもしれない脂肪酸と味覚の研究、解明に期待が寄せられています!
次に脂肪酸の種類と摂りたい油と控えたい油をご紹介します。
脂肪酸の種類
脂肪酸は動物性脂肪に多い飽和脂肪酸と植物や魚の油に多い不飽和脂肪酸に分かれます。不飽和脂肪酸はさらに、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。
さらに多価不飽和脂肪酸はn-3系脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)とn-6系脂肪酸(オメガ6系脂肪酸)に分けられます。このn-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸はヒトの体内で作ることが出来ない必須脂肪酸で、食品から摂らなければなりません。
出典:厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」2020版
摂りたい油と控えたい油
油脂は3つの脂肪酸とグリセリンで出来ており、脂肪酸の種類によって油脂の性質が決まり、私たちの体への作用も違います。
体に良い作用がある脂肪酸「摂りたい油」から悪い作用がある脂肪酸「控えたい油」をご紹介します!
積極的に摂りたい!
オメガ3系脂肪酸(EPA、DHA、α-リノレン酸など)
・血栓を防ぎ、動脈硬化を予防します。
・中性脂肪やLDL(悪玉)-コレステロールを低下させます。
・認知症予防やアレルギー症状改善など期待されています。
・熱に弱く酸化しやすいので加熱調理よりドレッシングなどに向いています。
<多く含む食品>
サンマやサバなどの青魚の油、亜麻仁油、えごま油、しそ油
ほどほどに摂りたい、日常の加熱調理にオススメ!
一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など)
・オメガ9系脂肪酸とも呼ばれます。
・LDL-コレステロールを低下させます。
・熱に強い為、炒め物や揚げ物など加熱調理に向いています。
<多く含む食品>
オリーブ油、なたね油(ハイオレイックタイプ)、紅花油(ハイオレイックタイプ)、米油、アボカド
摂りすぎに注意!
オメガ6系脂肪酸(リノール酸、アラキドン酸など)
・サラダ油やドレッシング、菓子や惣菜など多くの食品に含まれており、日本人はこの脂肪酸を多く摂り過ぎていると言われています。
・LDL-コレステロールを低下させますが、過剰に摂り過ぎるとHDL(善玉)-コレステロールを低下させます。アレルギー症状も悪化させると示唆されています。
<多く含む食品>
大豆油、コーン油、ごま油
出来るだけ控えたい
飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸など)
・パーム油はマーガリン、チョコレート、スナック菓子などの揚げ菓子やカップ麺など様々な食品に使われています。食品の原材料に記載されている「植物性油脂」はパーム油が多いので気をつけましょう!
・摂り過ぎるとLDL-コレステロールを上昇させ、心筋梗塞のリスクが高まると示唆されています。
<多く含む食品>
パーム油、肉の脂肪、バターや生クリーム等の乳脂肪
トランス脂肪酸(工業的に作られた脂肪酸)
・トランス脂肪酸の摂取量を世界保健機関(WHO)では総エネルギー摂取量の1%未満に留めることを推奨しています。日本人の平均摂取量は1%未満と言われていますが、出来るだけ低く留めることが望ましいと言われています。
・動脈硬化のリスクを高めます。
・LDL-コレステロールを上昇させ、HDL-コレステロールを低下させます。
<多く含む食品>
ショートニング、マーガリン、ファットスプレッドやそれらを原材料にしたパン、ケーキ、ドーナッツ、クッキーなどの洋菓子やスナック菓子、揚げ物
最後に
脂肪酸の種類に留意し、上手に油を摂っていきましょう。
油はどれも1g=9kcalとエネルギーが高いので、体に良い作用がある油でも摂り過ぎは体脂肪をためる原因にもなりますので注意しましょう。