DHA・EPAがアレルギー症状を緩和する!?

 日本はアレルギー大国とも呼ばれる程、今や日本人の約2人に1人が花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息といったアレルギー性疾患に罹患しています。2005年では、日本人の約3人に1人だったのが急速に増加し社会問題になっています。増加した理由として、アレルゲンの増加や大気汚染、食生活、快適な住環境、衛生的な生活環境への変化などさまざまな要因が示唆されています。

 アレルギー症状はとても辛く少しでも緩和したい!と思っている人も多いのではないでしょうか。私も長年、アレルギー症状に悩んでいる1人です。花粉症に悩んでいる時に病院の管理栄養士さんに「EPAのサプリ飲んだら?」と薦められたことがあります。

 はたしてDHA・EPAはアレルギー症状を緩和するのでしょうか。DHA・EPAの作用については世界各国で長年研究され、色々な作用がある事が分かってきました。そこで、今回はDHA・EPAのアレルギー作用についてお話したいと思います。まずはアレルギーが起こるメカニズムからみていきましょう。

 


アレルギーはどうして起きるの?


  アレルギーは私たちの体に備わっている「防御システム(免疫)」のエラーです!

 私たちの体には細菌やウィルスなどの外敵と戦う防御システム、すなわち免疫があります。ところが、食べ物や花粉など本来なら無害である物質に対しても防御システムが機能してしまい、過剰に反応し攻撃する為にアレルギーが起きます。本来なら体を守る機能が自分自身を傷つけてしまうのがアレルギー反応です。

 


DHA・EPAがアレルギー症状を緩和する!?


 冒頭でもお話しましたが、DHA・EPAの作用については長年研究され、色々な効能がある事が分かってきました。DHA・EPAがアレルギー改善にも有効であると示唆され現在も研究されています。

 DHA・EPAがアレルギー症状を引き起こす物質を抑制することやDHA・EPAの代謝産物がアレルギーなどの炎症を沈静化することが出来ると示唆されています。DHA・EPAを投与しアトピー性皮膚炎が改善したという臨床試験がいくつか報告されています。まだ研究段階の分野でもある為、解明されていないことも沢山ありますが、今後の研究結果に期待が寄せられています。

 


どれくらい摂ればいいの?


  アレルギー症状を緩和するにはDHA・EPAをどれくらい摂ればいいのか?みなさん知りたいことだと思いますが、残念ながら明確な基準はありません。DHA・EPAがアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を改善した研究報告がありますが、未だ研究段階でありアレルギー症状を改善する為のDHA・EPAの摂取目安量等は示されていません。

 厚生労働省作成の「日本人の食事摂取基準2020年版」では、DHA ・EPA・α-リノレン酸などを合わせたn–3系脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)としての目安量が示されています。

 DHA ・EPAだけの摂取目安はありませんが、DHA とEPAを合わせた量として1日1000mg摂れると理想的と言われています。DHA ・EPAはサバやサンマなどの青魚の油に多く含まれています。DHA ・EPAはヒトの体内で作ることが出来ないので食品として摂取する必要があります。1日1食は魚料理を取り入れることが理想的です。積極的に青魚を摂ることを心がけましょう。サプリメントで補う場合には過剰摂取は良くないので、必ず1日の容量を守りましょう。

 DHA ・EPAにはアレルギーだけでなく、血栓を予防したり中性脂肪を下げるなどさまざまな効能があり、認知症予防も期待され現在も研究されています。アレルギー症状とさよなら出来る日を期待して今後のDHA ・EPAの研究に注目していきましょう。

管理栄養士

吉岡彩

<学歴>
法政大学文学部卒
女子栄養大学栄養学部卒

<職歴>
・損害保険会社にて事務及び講習会講師業務
(その後女子栄養大学を卒業)
・病院にて管理栄養士として給食管理、集団栄養指導、個人栄養指導など
 栄養管理業務を担当
・健康診断専門のクリニックにて管理栄養士として特定保健指導、栄養相談業務を担当
 (今までの特定栄養保健指導の面談及び継続支援者数962名)

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