年齢と乳酸菌

 近頃、腸内環境を整えて健康なカラダを手にいれる“腸活”が話題となり、腸の大切さが広く知られるようになってきました。今回は「腸内細菌の働きで腸内環境が良くなると、どんな良いことがあるのか?」をお話したいと思います。

 


腸内フローラってなあに?腸の中はお花畑!?


 私たちの腸内には多種多様な細菌が生息しています。総数は実に100兆個以上、重さにすると1kgにもなり、一列に並べると地球2周半にも及ぶと言われています。これらの腸内細菌は、小腸から大腸にかけて、まるでお花畑(フローラ)のように種類ごとに群生していることから「腸内フローラ」と呼ばれているのです。このお花畑は、体によい影響を及ぼす『善玉菌』、増え過ぎると有害な働きをする『悪玉菌』、優勢な方に味方をする『日和見菌』と、大きく分けて3つのグループで構成されています。善玉菌と悪玉菌が24時間休まずに勢力争いを繰り広げ、腸内フローラのバランスを作っているのです。ちなみに‘日和見(ひよりみ)’とは、形勢をうかがって有利な方につこうとすることで、歴史や政治上で皮肉めいた意味でつかわれています。人間の世界も腸内も同じような状態が存在するのですね。

 


あなたの体重の1kg以上は腸内細菌でできている!


 では、どうして腸にはこれほど多くの細菌が必要なのか。それは、腸が単なる消化器官にとどまらず、ひとの命をつかさどると言っても過言ではないほど大切な場所だからです。まず、腸の役割をみてみましょう。

1 消化:食べた物の最終消化と酪酸や乳酸などを産生

2 吸収:分解された栄養素や水分を吸収する。

3 排泄:ぜん動運動により不要な老廃物と毒素を便として排泄する。

4 免疫:免疫細胞が集中していて常に病原菌から守っている。

5 生成:幸せホルモン(ドーパミンやセロトニン)やビタミン類の合成

 腸が第2の脳と言われている理由。それは緻密(ちみつ)な神経ネットワークが存在し、脳から支持を受けずとも独自の判断で動くことができるからです。そして、これらの働きすべてに腸内細菌が関わっています。腸内細菌への期待が高まりますね。

 


メリットだらけ!腸内フローラのバランスを整えること


  腸の働きをよくするためには、ご存じの通り、腸内フローラのバランスをよくすることです。よく言われている腸内環境を整える、と同じことです。さらに具体的にイメージしてみましょう。腸内フローラのバランスが整えられる→腸の働きがよくなる(快腸になる=お通じが良くなる)ので、

1 免疫力が高まる

2 様々な病気を予防できる

3 肌によい栄養をたくさん吸収することで美肌になる

4 デトックス効果でウエストが引き締まる、痩せやすくなる

5 目覚めが良くなる

6 集中力がアップして家事や仕事がはかどる

7 幸せホルモンが出て精神状態が安定する、自律神経も安定する。

 といった具合に、うれしいことがたくさん。大腸がんに対する予防効果の報告も増えているようです!腸内環境を整えることが、私たちの幸せに大きく影響していることをおわかりいただけたでしょうか。

 


腸内フローラのピークは3歳!?


  私たち人間は、母親の胎内にいる時は無菌の状態です。そして、産道を通って生まれてくるときに初めて細菌と出会います。生まれてからは、母乳や空気、人の肌に触れることによってどんどん細菌を体内に取り込んでいきます。育つ環境に影響受け、3歳くらいの時にその人独自のバランスでフローラの原型が出来上がります。一般的にはこの時の腸内フローラが最もよい状態だと言われています。しかし加齢とともにそのバランスは変化していきます。特に顕著に差が出るのがビフィズス菌です。なんと、50代になると乳児の100分の1しかビフィズス菌がいなくなってしまうのです!年配の人が便秘になりやすいのは、運動量が少なくなるだけでなく善玉菌の減少により腸の働きが低下することが影響するようです。

 加齢によってからだが徐々に衰えてくるのは自然な現象ですが、腸内環境は生活習慣によっても変化するため、すべてが実際の年齢とリンクしているとはいえません。大げさに言うと、日常的にアプローチしていけば腸内環境はいくつになっても逆転可能ではないでしょうか。その方法は…別の記事でお伝えします♪

栄養士

藤原友香

<学歴>
東京理科大学基礎工学部卒
香川栄養専門学校栄養士科卒(現女子栄養大学短期大学部)

<職歴>
・管理栄養士個人事務所にてアシスタント業務
・加工食品メーカーにて事務
・大手スーパーマーケット本部にて惣菜開発担当

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