ホスファチジルセリンとは? part2
今回は、「ホスファチジルセリンとは? part1」の続きです。
part1では、ホスファチジルセリンの基本情報やホスファチジルコリンとの共通点や違いについてまとめています。ぜひ、「ホスファチジルセリンとは? part1」からご覧ください。
ホスファチジルセリンの研究歴史
ホスファチジルセリンは、1941年にアメリカの生化学者が牛の脳より発見されました。
ホスファチジルセリンは、脳の神経組織膜に多く存在するリン脂質で、発見当初より脳機能との関連が注目されてきました。その後、ホスファチジルセリンは様々な研究がされてきました。
1986年には、Delwaide(デルウェイド)によって牛の脳から抽出したホスファチジルセリンを認知症患者に経口投与することにより、認知症の症状が改善したことを初めて報告されました。これ以後、欧米では認知症に対する有効性が確認されています。
日本では、2018年「大豆由来ホスファチジルセリンは、記憶力が低下した健康な中高齢者の認知機能の一部である記憶力(言葉を思い出す力)の維持をサポートする」という表示ができる機能性表示食品が初めて販売されました。
発見当初は、牛の脳から抽出されたホスファチジルセリンが使用されていましたが、BSE(狂牛病)を媒介する恐れもあることから、現在は大豆から抽出されたホスファチジルセリンがサプリメントなどに使用されています。
どんな効果が期待できるの?
ホスファチジルセリンは、欧米を中心に研究されてきました。期待されている効果は以下のものです。
〇加齢に伴う記憶力低下の改善(記憶力の維持、向上)
1日100㎎または300㎎の大豆由来のホスファチジルセリンを6ヶ月間摂取することにより、いずれも認知機能の改善が見られ、加齢に伴う記憶力低下の改善が報告されています。
〇アルツハイマー型認知症の症状改善
1日300㎎の牛脳由来のホスファチジルセリンを6週間摂取することにより、アルツハイマー病の症状改善が報告されています。
〇注意欠陥・多動性障害(ADHD)の症状改善
1日200㎎の大豆由来のホスファチジルセリンを2ヶ月摂取した子供において、ADHD症状の有意な改善が報告されています。
〇ストレスをやわらげる効果
1日300㎎の大豆由来のホスファチジルセリンを30日間摂取することにより、精神ストレス耐性の向上が報告されています。
どんな食品に含まれているの?
ホスファチジルセリンは、肉類の脳、腎臓、および肝臓のような内臓に1番多く含まれています。どれも毎日食べる部位ではないですね。
その他には、肉類、魚、豆類に多く含まれています。
食事からの1日のホスファチジルセリンの平均摂取量は130㎎と推計されています。
臨床試験では、症状や効果項目によって違いますが、1日ホスファチジルセリン100㎎~300㎎の摂取で有効性が確認されています。ホスファチジルセリン(表ではPSと表示します)が多く含まれている食品を表に示します。
食品中のホスファチジルセリン(PS)含有量
食品 |
PS含有量(mg/100mg) |
肉類 | |
牛の脳 | 713 |
もつ(平均) | 305 |
鶏肉(平均) | 110 |
牛肉 | 69 |
豚肉 | 57 |
豚の肝臓 | 50 |
魚 | |
サバ | 480 |
ニシン | 360 |
ウナギ | 335 |
マグロ | 194 |
イセエビ類 | 40 |
タラ | 28 |
豆類 | |
豆類 | 107 |