ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは!? part 1
昨今、注目されている「ロコモティブシンドローム」とは、筋力の低下や骨や関節の病気によって立つ・歩くといった移動機能が低下している状態をいいます。
ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)が進行すると、将来寝たきりや介護が必要なリスクが高まります。ロコモを予防することは、人生を元気に全うするためにとても大切なことです。
国内の死亡者数において、2007年の厚生労働省のデータでは、疾患+運動不足が原因で亡くなっている方が毎年約5万人もいると記述されています。たかが運動不足。されど運動不足です。運動不足はロコモの原因の1つです。
ロコモを予防することが、寝たきりや病気を予防し、健康寿命をも延ばすことにつながります。
今回、ロコモの概念や予防についてお話ししたいと思います。
part 1では、ロコモの概念、サルコペニアとフレイルとの違いについてお伝えします。part 2では、運動と食事のロコモ対策についてお伝えします。
ロコモティブシンドロームとは!?
ロコモティブシンドローム(運動器症候群)は、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で日本独自の考え方です。
ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)とは、骨、関節、軟骨、椎間板、筋肉といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、立つ・歩くといった移動機能が低下している状態をいいます。
ロコモが進行すると、将来寝たきりや介護が必要になるリスクが高まります。介護が必要となった原因の上位には、「関節疾患」や「骨折・転倒」の運動器障害が上位にあがります。
特に女性では、2019年の国民生活基礎調査によると、介護が必要となった原因は、第1位「認知症」、第2位「骨折・転倒」、第3位「関節疾患」となっています。骨折・転倒や関節疾患は、ロコモにあたります。
ロコモを予防すること、それは将来介護を防ぐことにつながります。
ロコモの原因
ロコモの原因には、
①加齢や運動不足による筋力の低下
②筋力の低下によるバランス能力の低下
③骨や関節の病気(骨粗しょう症、変形性関節症、変形性脊椎症など)
の3つがあげられます。
ロコモかどうかチェックしてみよう!
ロコモ対策のために、今ご自身がどういう状態であるかを知ることが大切です。
以下は、ロコモになっているかどうか簡単に分かる7つのチェック項目です。1つでも該当していればロコモの心配があります。対策をしていきましょう。
1.家の中でつまずいたり、すべったりすることがある。
2.片足で立って、靴下がはけない。
3.階段を上がるのに手すりが必要である。
4.15分くらい続けて歩けない。
5.横断歩道を青信号で渡りきれない。
6.布団の上げ下ろしや電気掃除機を使うのがつらい。
7.2㎏程度(大きなペットボトルなら1本、牛乳パックなら2本程度)の買い物を持って帰るのがつらい。
ロコモとサルコペニアとフレイル、なにが違うの!?
ロコモと似たような意味合いの言葉で、サルコペニアとフレイルがあります。
サルコペニアとは、加齢に伴い筋肉の量が減少していく現象で、全身の筋力低下が起こることを指します。ロコモとの違いは、ロコモの原因は運動器全体ですが、サルコペニアは筋肉に限定されています。サルコペニアは、ロコモを引き起こす原因の1つです。
フレイルは、高齢者において「体」・「心」・「社会的つながり」が弱くなり、要介護に至る前段階を意味します。ロコモとの違いは、ロコモの原因は身体的のみですが、フレイルの原因は身体的、精神・心理的、社会的の3つの側面があります。
ロコモが進行した状態が身体的フレイルにあたります。フレイルの予防には、栄養バランスのとれた食事、ウォーキングなどの身体活動、趣味やボランティアなどの社会参加が大切です。
part 1はここで終了です。part 2では、運動と食事のロコモ対策をお伝えします。ぜひご覧ください。